会社から貸与された作業着を郵送で返却するのはマナー違反か?

会社から作業着が貸与されていた場合、退職時には当然作業着を返却しなければなりません。「円満」退社であれば、後日直接制服を返却しに行ってもどうってことありませんが、会社と揉めて退職になった場合や、揉めたわけではなくても新たな勤務地が遠方になった場合などは、借りていた制服を直接返却しに行くのは少々やっかいです。

このような場合、制服を郵送で返却してもマナー違反には当たらないのでしょうか?


郵送で返却はできるのか?

結論から言うと、郵送で作業服を返却することは可能です。次項からは、郵送で返却するに当たり踏むべき、あるいは踏んでおいた方がよいと思われる手順を見ていくことにしましょう。

郵送での返却の手順

作業服を郵送で返却する具体的な手順は、以下の4つです。

1.借りていた作業服をクリーニングに出す

2.作業服を段ボールなどの丈夫な箱に入れる

3.「添え状」を書き作業服と一緒に箱詰めにする

4.箱を郵送するそれぞれの項目について詳しく見ていきましょう。

借りていた作業服をクリーニングに出す

まずは、返却する作業服を全てクリーニングに出しましょう。当然、洗濯済みのものも全て、です。自分が着ていた作業服を、後から入社した誰かが着るかもしれないからです。自分が誰かの使用済みの作業服を着ることを想像してみてください。たとえ洗濯済みであったとしても、あまり気持ちの良いものではありませんよね?

私自身も制服のある職場で仕事をしていたことがありますが、全てクリーニングに出してから返却しました。会社によっては作業服を使い回しにしていない可能性もありますので、できれば事前に「貸与されていた作業服をクリーニングに出して返却する必要があるかどうか」を聞いておきましょう。

仮に、「クリーニングは必要ない」と言われたとしても、洗濯をしてから返すようにしましょう。それが社会人としての最低限のマナーだからです。ただし、もし会社から「洗濯もしなくていい」と言われたのであれば、洗濯しないで返却したとしてもマナー違反にはならないと考えられます。

作業服を箱に入れ「添え状」を付ける

次に、クリーニング、あるいは洗濯した作業着を、適当な大きさの箱、できれば段ボール箱などの丈夫な箱に入れましょう。箱に入れないで袋などに入れて送ると、せっかくクリーニングに出した作業服がしわしわ・よれよれになってしまう恐れがあります。

また、クリーニングに出した場合には、付けられてきたタグやビニール袋はそのままにしておきます。このまま郵送しただけでも作業着は返却できますし、自分の名前を書いて発送するのですから、当然会社には誰から送られてきたのか分かるのですが、それだけではあまりにも不躾で不愛想です。

ただでさえ「郵送」という不愛想な返却方法を選択しているのですから、会社との間に何か嫌なことあったとしても、せめて、わずかでもお世話になった感謝の気持ちと、退職にともなう面倒な事務手続きをお願いしますという気持ちを込めて、お手紙を添えて返却したいものです。

そのお手紙が「添え状」です。

「添え状」には何を書けばいい?

「添え状」と書くと、何か大層なお礼状のように聞こえますが、意外と簡単です。『在職中は大変お世話になりました。貸与されていた作業服を返納いたしますので、よろしくお願いいたします。上着2着ズボン2本以上名前』

程度の内容で十分でしょう。とはいえ、いくらなんでも鉛筆書きはNGです。この「添え状」を、作業服と一緒に箱詰めにして送りましょう。

作業服を郵送する際に注意すべきことと郵送に伴うリスク

さて、これで作業服入りの箱を郵送すれば一応返却は完了するわけですが、ここで注意すべきことがいくつかあります。まず考えられるリスクは、自分は借りていた作業服を全て箱に詰めて返却したつもりでも、うっかり送り忘れをしてしまうかもしれない、ということです。

貸与品がすべて返却されているか検品をする会社もあるため、場合によっては元職場から返却要請の連絡が来る可能性があり、それにうまく対処できなければさらなる揉め事を引き起こす恐れもあります。このようなミスを防ぐためには、事前に会社と貸与品の確認をしておく必要がありますが、こうなると、より簡単な郵送での返却という手段を選んだはずがかなり面倒な手続きを踏む羽目になり、何のために郵送を選んだのか分からなくなってしまいます。

また、日本の郵便は非常に優秀なのでレアなケースではありますが、郵便事故の可能性もゼロではありません。そもそも、何の前触れもなく突然荷物を送った場合は、受け取ってもらえない可能性があります。以上のリスクを踏まえた上で、「作業着を郵送で返却する」という手段を選択するべきでしょう。

ホンダがこだわる作業着とは

郵送での返却は可能だけれど…

ここまで見てきた通り、郵送で作業着を返却することは可能ですし、丁寧に「添え状」などを付けて送れば不作法というほどの失礼には当たらないのではないかと思われます。しかし、郵送での返却は誰の目から見てもやむを得ないと思われる事情がある場合と、それが職場から許可された場合にのみ許される最終手段であり、どのような理由があるにせよ、借りていた作業服はできるだけ自分で直接返却しに行った方がよい、と考えられます。

なぜなら、それが「大人の社会人としてのマナー」だからです。様々な意見があるとは思いますが、「郵送による作業服の返却は可能ではあるが、人によってはマナー違反と取られる可能性」があります。また、「マナー違反かどうか」ということからは論点がずれてしまいますが、先の「郵送のリスク」の項で述べた通り、自分で持って返却しに行けば、貸与されていた作業着が全部そろっているかどうかを会社の担当者と一緒に確認することができるため、不要なトラブルを回避することにもなります。

揉めた挙句に退職した場合には、会社に対してよい感情を持つことは難しいでしょうし、揉めた相手と再び顔を合わせることを考えると非常に気まずい気持ちになるでしょうから、「郵送」という手段を選びたくなるのは当然のことでしょう。

しかしながら、専門性が高い職種であればあるほどその世界は狭く、辞めた会社の同僚や関係者とこの先仕事上で顔を合わせる可能性は高くなります。揉めた相手本人が取引相手になる可能性も皆無ではないのです。「終わり良ければ全て良し」ではありませんが、どんなことがあったとしても、ここは嫌な気持ちをぐっと飲み込んで、最後に一言、「大変お世話になりました。

こちら、お借りしていた作業服です」と言い添えて返却できたら、元の職場とはきれいさっぱり決別し、新たな一歩を踏み出すことができるのではないでしょうか。